新卒大量採用のメリット・デメリット|ブラック企業の名がつく前に採用担当が知っておきたい他社の成功事例

現在の採用動向は?

企業が事業の拡大を目指して採用枠を増やさなければならない場合や、次世代の社員を育てたい場合など、自社を発展させていくためには、優秀な人材を多く採用することが不可欠です。

企業規模が大きい企業や、事業が多岐に渡る企業は、毎年のように新卒学生を大量採用することになりますが、この「大量採用」、学生のあいだではブラック企業の特徴の一つと思われてしまいかねないことをご存知ですか?

過酷なノルマや長時間労働で社員を使いつぶす社風であるからゆえ、早期の退職者を見込んだ人数の新卒学生を大量に採用している企業もあるといい、一概に言えませんが、大量採用をしている企業はそのような見られ方をして敬遠されてしまう危険性もあります。

売り手市場の今、より優秀な人材を確保するためには、「ただ必要だから採用する」ではない意識的な採用が必要になってくるでしょう。

昨今は半世紀ぶりの超売り手市場

では、実際に現在の採用市場の動向をみていきましょう。厚生労働省が発表している有効求人倍率は、2018年の平均求人有効倍率が1.61倍と、前年に比べて0.11%上昇し、1973年以来45年ぶりの高水準となっています。年々、倍率は上昇し続けており、人手不足に拍車がかかっている状況です。

さらに、大卒の求人倍率に限ると、リクルートワークス研究所による第36回ワークス大卒求人倍率調査(2020年卒)によれば、求人倍率は1.88倍と大きく上昇している一方、民間企業の求人総数は前年より約6万人増加しており、企業の採用難が年々加速しているのがわかります。

画像の引用元:第36回ワークス大卒求人倍率調査(2020年卒)

売り手市場の中、大量採用を実施している業界とは?

このような半世紀ぶりの売り手市場の現在、大量採用を実施できているのはどのような業界でしょうか。「就職四季報」から、市場の動向を確認してみましょう。

採用数が多い企業ランキング

具体的に採用数(2019年3月入社予定人数)が多い企業のランキングは以下の通りです。採用人数が多い業界は、銀行、製造業、証券などの金融系など、規模が大きな企業が並びます。

1位 三菱UFJ銀行(951人)

2位 三菱電機(920人)

3位 大和ハウス工業(885人)

4位 日本IBM(842人)

5位 富士通(750人)

6位 みずほフィナンシャルグループ(700人)

大和証券グループ(700人)

パナソニック(700人)

9位 富士ソフト(650人)

三井住友銀行(650人)

業界別 採用人数が多い企業ランキング

次に、採用人数が多い業界の中で特に大量採用をしている企業を具体的にみていきましょう。

【銀行】

1位 三菱UFJ銀行

2位 みずほフィナンシャルグループ

3位 三井住友銀行

【製造業】

1位 三菱電機

2位 日本IBM

3位 富士通

【金融業(銀行を除く)】

1位 大和証券グループ

2位 野村證券

3位 東京海上日動火災保険

【小売企業】

1位 スギ薬局

2位 ニトリグループ

3位 ノジマ

企業が大量採用する理由とは?

これら採用人数が多い企業の動向をチェックすることで、なぜ企業が大量採用するのかがわかってきます。

第一に、単純に会社の規模が大きいからというもの。

大手企業は会社の規模が大きく、事業所が全国各地にあるので自ずと採用人数が多くなってきます。銀行、製造業などはこのケースにあたると考えられます。

2番目の理由として考えられるのは、会社が急成長したため、人員が不足している場合。スギ薬局やニトリグループなどはこれに当てはまるでしょう。

一番気をつけなくてはならないのは、3番目の理由。早期大量離職を見越して、大量採用を行うケースです。この理由が「大量採用」している企業=ブラック企業というイメージがつく要因になっています。

※万が一あなたの企業がこのケースにあたる場合は、従業員の理由を見つめ直し、会社の仕組みを改善する必要があるでしょう。採用コストよりも離職コストの方が大きいとされていますので、離職を減らした方が結果としてコストダウンになって企業の体質強化にも繋がるでしょう。

企業が大量採用をしているからといって、必ずしも早期大量離職が発生しているわけではありません。このことを新卒学生の方々に正しく理解してもらうと同時に、採用には慎重に動く必要があると考えられます。

大量採用のメリットとデメリット

前述の通り、昨今続いている売り手市場の影響でなかなか企業が理想とする人員が確保できなかったり、企業の規模が大きい、または企業が急成長している、または残念ながら早期大量離職を見越していたりと、企業はさまざまな理由で新卒学生の大量採用を実施します。

ただ人員が必要だから採用するのではなく、大量採用を検討、実施するまでに大量採用のメリット、デメリットをきちんと理解しておくことが大切です。

大量採用のメリット

人材と仕事内容の理想的なマッチングが可能です。個人の能力を最大限発揮できる人員配置を実現できる可能性が高くなります。また少量採用の企業に比べて、母集団が大きいので自社のリーダー候補となる人材を見つけ、育成していくことも容易になるでしょう。

若年労働力を確保することで、社内の人口ピラミッドが最適化され、特定の世代の従業員だけ多いといったアンバランスを防ぐことができます。社内の年齢別構成に均衡がとれていると安定した経営ができるとされています。

また、従来の従業員も下の世代を教育する機会が増えるため、さらなる成長が期待でき、組織が活性化します。

大量採用のデメリット

もちろん、デメリットも当然考慮しなくてはなりません。採用人数が多いため、当然ながら応募、選考、内定といった採用までにかかる手間、人材、予算が大きくなります。また、少量採用に比べて採用者一人に対してフォローできる時間が少なくなりがちなので、内定までに志望度が下がってしまい、内定辞退されるケースも多々あります。

採用予定者には「あなたを本当に必要としているからぜひ入社してほしい」と伝えるための体制を整える必要があるでしょう。関係性が希薄にならないよう、職種別や地域別の懇親会などを開催し、愛社精神をもってもらうような取り組みをしている企業もあります。

入社後の研修体制も手薄にならないよう、受け入れ準備もしっかりと整えましょう。

大量採用に成功した企業事例

実際に大量採用を実践し、成功した企業の事例をみていきましょう。

事例1:アイリスオーヤマ株式会社の変貌

日本を代表する日用品メーカーであるアイリスオーヤマ株式会社。

良質な商品を低価格で販売し成長を続けている影には、ある大手家電メーカーをリストラされた優秀な技術者たちを大量採用したことにあります。

アイリスオーヤマの顔ともいえる、「こんなものが欲しかった」と思わせる画期的な商品を開発しているのは東芝やシャープなどをリストラされてしまったベテランの技術者たちです。トップから指示するのではなく、自分たちが実際に使ってみたい商品をプレゼン、開発させることで技術者たちのモチベーションをあげることに成功。

結果、魅力的な商品が増え、売上が急増することになりました。本社がある宮城だけでなく、多くの家電メーカーの工場がある関西にも開発センターを新設し、さらに優秀なエンジニアを採用することに成功しています。

事例2:毎年約9,000名もの新卒者を採用する米国企業の手法

アメリカに、従業員数8万3000人、新卒採用数約9000人を誇る、世界最大の車両レンタルサービス企業「エンタープライズ・ホールディングス」があります。

大学での専攻は問わず、マネジメントに興味があり、学ぶ意識を持っていることが採用条件。200人ものリクルーターを使って採用活動をしています。

採用活動は本社が一括して指針を決めるのではなく、各地域の事業拠点が独自に実施しているのが特徴です。地域ごとに人材ニーズも異なるので、各地域の採用担当が管理運営しているのです。そのため内定者へのサポートが手厚くなり、管理もしやすくなります。

さらに、優秀な人材を確保するためにインターンシップ制度を活用。インターンシップを経験した学生には、入社時点で同期の一歩先をいけるシステムを導入し、モチベーションをアップさせています。

人材確保をめぐる企業間の競争を有利に進められるように、インターン生に有意義に感じらえるシステムも考案しています。

事例3:マクドナルドは主婦を積極的に採用して、人員不足を解消

ファーストフード業界最大手の「日本マクドナルド株式会社」も大量採用を成功させている企業のひとつです。マクドナルドは正社員採用ではなく、アルバイト採用ですが、人員不足に悩む企業へのヒントとなる画期的な採用方法をとっています。

多くの学生アルバイトが、学校卒業のタイミングで離職してしまう一方、主婦の平均勤続年は学生のなんと約2倍(マクドナルド調べ)とのことです。

そこに目をつけたマクドナルドは、全国にある約2,900の店舗で専業主婦をターゲットにした採用強化キャンペーンを実施しました。

クルー(店員)体験会を開催し、実際の勤務を体験する機会を設けました。これにより「仕事内容がイメージと違った」といった雇用のミスマッチを防ぐことができ、はじめてアルバイトをする主婦たちの不安も払拭することに成功しました。

また、アルバイト募集専用の「LINE公式アカウント」も開設し、アルバイトの応募数が30%以上増加。働き手の確保に成功しています。

まとめ

売り手市場の昨今、優秀な人員を多く確保が難しくなってきているのは事実です。

しかし、大量採用のメリット、デメリットをきちんと把握し、働く側の意見に寄り添った採用活動をすれば企業の時期リーダーとなる人材を採用することも難しくありません。「かわりはいくらでもいる」ではなく、「私がこの会社を良くするんだ」と働き手に意識してもえる採用活動を実践すれば、大量採用=ブラック企業のイメージは払拭されていくでしょう。

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Bridgers 編集部です。 日本企業が外国人を採用するためのナレッジや、海外ビジネス情報について記事形式でお伝えしていきます。