高い離職率に歯止めを|社員が辞めない「愛され企業」の作り方

離職に歯止めをかけて定着率を向上させる、社員に愛される企業作りはどう行えばよいでしょうか。今回は離職の原因から離職率の高い業界の特徴をまとめた上で、社員の定着率を高めていく施策を事例も交えて紹介していきます。

離職率が高い企業とは

業界別で1年間の労働者推移を見ていきますと、最も離職率が高い業界は宿泊業・飲食業、続いて生活関連サービス業・娯楽業、サービス業と続きます。

参考:平成28年雇用動向調査結果の概況

しかしながら、宿泊・飲食業はアルバイト、派遣、契約社員が多く入職率も高いため、一概に「離職率が高いので働き方が劣悪である」とは言い切れません。

そこで見ていきたいのが、「離職比率(≠離職率)」です。入職率に対する離職率の割合をグラフで確認してみましょう。

各業界の離職比率(入職率に対する離職率)

離職比率は「製造業」が最も多く124%で、「運輸業、郵便業」と「複合サービス業」が同率で101%に達しています。労働人口が減少し続けるものの、退職者数が増加傾向にあるため離職率が上がった、もしくは離職の原因となる働き方に問題がある可能性が高いと言えるでしょう。

それと比較して、離職度が低かった業界は「情報通信業」「不動産業、物品賃貸業」「生活関連サービス業、娯楽業」です。生活関連サービス業、娯楽業は離職率が高いにも関わらず、「離職度合いは低い」ことがわかりました。

社員はこんな理由で離職する

社員が離職する、主たる理由は何でしょうか。

厚生労働省の平成27年転職者実態調査の概況によると、正社員の離職理由の1位が「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」で28.4%。2位が「満足のいく仕事内容でなかったから」で27.9%、3位が「会社の将来に不安を感じたから」で26.6%という結果になり、働く環境や働き方に重点を置く人が多いように見受けられます。

巷で働き方改革が叫ばれている昨今、人々の働きやすさに関する関心はますます高くなっています。働きやすさの向上が、定着率を高める要因の最も重要なポイントであることは容易に想像がつきます。

それでは社員が離職してしまう要因の例を詳しく見ていきましょう。

離職を誘発する要因・1:入社前のイメージと実情の相違

採用面接で応募者に雇用条件や、職場の実情を説明する機会は多くあるかと思いますが、案の定「入社してみたら、思っていたものと違った」という理由で早期離職に繋がるケースはよくあります。

入社前に「伝えた」でなく「伝わったか」という観点から実際の勤務内容について説明することが大切です。

正確に勤務内容を伝えるのみならず、業務時間が一日の多くの時間を占めるので、社員の生活の質を高めていくためにも働きやすい環境づくりの設計は、一度社内で検討されるべきと思います。

「同一労働・同一賃金」、「全員正社員」制度の導入|株式会社イケア・ジャパン

イケア・ジャパンは全国に9店舗を展開する小売業ですが、女性スタッフのほとんどはパートタイマーとして働いていました。

人を大切にするというスローガンを掲げているイケアは、女性がもっとキャリアアップできる環境をつくるために、この制度を導入しました。給与水準をアップさせ、雇用形態や性別に関係なく昇進できる環境作りに取り組みました。

また有期契約を廃止し、無期契約に切り替えることで、社員の長期的なキャリアプランの設計を可能にしています。

離職を誘発する要因・2:満足のいく仕事内容でない

上記に同じく、事前に聞いていた業務イメージと勤務実態の齟齬は離職に繋がりかねません。しかしながら、雇われる側も雇う側も「働きやすさ」を闇雲に求めるのではなく、「働きがい」という観点にも着目しなければいけないでしょう。

「働きがい」を高めるためには、自主性の尊重や経営者・管理者層が社員を信頼すること、成功を賞賛する文化、など会社の中で自身の存在意義を実感できることが働き甲斐に繋がります。

さらに、社員ひとりひとりが、キャリアプランに沿ってスキルアップできる成長環境を会社として提供することがとても重要です。

「バディ活動」、「部活動」の導入|株式会社コンカー

離職率を下げるという観点で「働きがい」はとても重要ですが、まずは社内の人間関係が良好でないと「働きがい」が感じられる土壌は作れないのではないでしょうか。

クラウド経費管理システムを販売しているコンカーは、2018年日本版「働きがいのある会社」ランキングの中規模部門で、見事一位に選ばれました。コンカー社員が自社を最も評価している点は、「社員相互の良好な関係」が51.38%で、働きがいは社員同士の関係性に大きく左右されるという可能性を示唆しています。

コンカーでは、社員同士の関係性をよくする為に、毎月ランダムに三人の社員を組み合わせ、ランチやスポーツなどの好きな課題活動を行うバディ制度や、麻雀部やプロレス部など趣味が合う社員同士を集める部活動制度の導入を行い、社員同士のより緊密な関係性を構築することに注力しています。

離職を誘発する要因・3:会社の将来性への不安

社員が会社の将来性に不安を感じてしまう要因は、現状の営業利益や売上額だけとは限りません。

職場に魅力的な上司や同僚の存在がないことや、今後市場規模が縮小するであろうマーケットで戦っているなど「このまま会社にいても、自分のキャリアや、身の回りの環境はよくなっていかない」という考えが、離職の可能性を高めます。

「New RING」の設立|リクルートホールディングス

リクルートは、毎月新規事業の立案コンテンスト「New RING」を開催しています。今では誰もが知っているゼクシィや受験サプリ、ホットペッパーはNew RINGから生まれました。

ビジネスプランの事業化を会社が支援する制度で、社員の自主性やモチベーション向上の仕組みづくりに成功しています。

常に世の中に必要とされるサービスを生み出せる環境においては、経営者層だけでなく社員自身が事業を作っているという認識を持たせ、社員自身のキャリア構築への期待感を醸成することができるのではないでしょうか。

まずは社内の問題を紐解いていくことから

社内環境は一気に変えられるものではありません。問題の解決には複合的に絡まりあう社内の課題をひとつひとつ解いていくしかなく、必ず「○○から取り組むべき」という決まりはありません。

まずは社員が現状感じている課題感を把握して、最も緊急度が高い課題から少しずつ改善に取り組んでいき、定着率の向上を図ってみてください。

ライター紹介
小林 ななみ
小林 ななみ
Bridgers編集部員の小林です。よく、「私の友達に似てる!」と言われる凡人顔が特徴だと思っています。タイ就職を経験し、本帰国してから約半年経ちました。行ってみたい街は、ゴールドコースト・チュニス・ナッソー。海が見える、暖かい場所が好きです。よろしくお願いいたします!
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