今回はベトナム人の国民性の紹介、採用メリットや注意事項などについてのご紹介になります。
高い技術力に定評のあるベトナム人ですが、その力を活かして彼らが日本で活躍するにはどうしたらよいか、理解を深めていきましょう。
国内在留ベトナム人のいま
国内で増加するベトナム人
いま、日本国内でベトナム人が急増しているのはご存知でしょうか。
法務省の外国人統計によれば2017年6末で約24万人まで増加しており、国籍別の国内在留外国人数でブラジルの約18.5万人を抜いて4位まで上昇しています。
ほか上位の国籍では1位の中国が約88万人、2位の韓国が約53.5万人、3位のフィリピンが約27万人で、3位との差は約3万人にまで迫ります。
いま、ベトナム人は日本人にとってとても身近な存在になっているのです。
[参考] 法務省 在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表
2019年6月現在の在留ベトナム人
本記事の初出時である2018年6月時点では、上記のとおりベトナム人の在留数は4位でした。
2019年6月現在で最新の統計である「2018年末」における在留外国人数では、フィリピンを抜き、ベトナムが3位にまで上昇しています。
人数にすると約33万人であり、大幅に増加していること、今後も増加傾向が続くであろうことが分かります。
[参考] 法務省 平成30年末現在における在留外国人数について
在留ベトナム人の7割超が技能実習生・留学生
ベトナム人の方はどのような名目で日本に来ているのでしょうか。
在留ベトナム人約24万人のうち、技能実習生が約10.5万人、留学生が約7万人とこの2つだけで7割強を占めています。
つまりほとんどのベトナム人は名目上、短期(技能実習は5年が限度)または長期で日本に実習を含め学びに来ているということになります。
中には昨今指摘されているように、悪質な仲介業者に騙され借金をしてまで留学の名目で来日し、日本で学ぶというよりも週28時間の上限を超えるほどに働くことが主目的のようになってしまった方もいるかもしれません。
ただ出稼ぎ目的の留学であれば仕事を変えることもできますが、技能実習生の場合では定められた勤務先で働くことに限定して入国しているため、もし仮に劣悪な環境であっても職を変えることができず社会問題となっています。
拡大する日本の雇用環境
国内の労働力不足などを背景に、日本では外国人労働者の受け入れ体制の整備が加速しています。
代表的な例として挙げられるのは、2019年4月に追加された新たな在留資格「特定技能」です。
特定技能は人手不足を解消する目的で導入された在留資格で、外国人は特定技能に指定されている分野の技能検定に合格することで、日本において日本人と同等に近い条件で就労できます。
そして、特定技能の1種である外食業においては、最初の合格者347人のうち207人がベトナム人でした。
技能実習制度の拡大も進んでいます。
技能実習制度の在留期間はカテゴリごとに「技能実習1号」が1年、「技能実習2号」が3年などと定められていますが、2019年7月、宿泊業が1号から2号に移行されます。
技能実習制度の本来の目的は人手不足の解消ではなく国際貢献ですが、宿泊業ではこれまでより長く技能実習生を雇用できることになります。
ベトナム人の国民性と教育レベル
意外と似ている日本人とベトナム人
ベトナム人の国民性ですが、これが意外と日本人と似ているようです。
例を挙げてみますと、勤勉さや謙虚さがある、ものづくりや計算など細かい作業には適性がある方が多いと言われており、これが後述する高い技術力にも繋がっていきます。
それゆえ日本の職場文化への定着もしやすいと言えるでしょう。
ベトナム人に多く見られるとされる、真面目で手先の器用であるという特性から、工場のライン作業などにも適性があると言えます。
外国人採用というカテゴリの中でベトナム人を位置づけようとする場合、観光などのインバウンド対応要員というよりかはエンジニア・技術系職種として採用されることが多いようです。
ITエンジニア育成のため教育熱心なベトナム政府
ベトナムのGDPに対する教育への支出割合は6.3%(2012年)の高い水準となっており、教育全般に対する高い期待が見て取れます。
中でもITエンジニアの育成に力を入れており、2020年までに100万人のITエンジニアの就業を目指しています。
300近くの大学・短大で IT関連学科が設置され、毎年5万人近い卒業生を輩出しています。
国を挙げて技術者の育成に注力していることと、細かい作業に適性のあるとされる国民性が合わさり、高い技術力として結実しています。
[参考] 株式会社三菱総合研究所 国別分科会資料 ベトナム社会主義共和国(ベトナム)
ベトナム人と日本語
とても国内で増加しており、また日本人と基質が似ているベトナム人ですが、まだまだ日本人からすると少し遠い存在にも感じます。
ですがなんと2016年にはベトナムの小学校で日本語が第一外国語に指定されるなど日本語学習熱が高まっており、技術と日本語力のある国になっているのです。
ベトナム大使館によれば、ベトナムでは約4万6千人が日本語を学んでいるとされています。
なお初等教育段階での日本語教育の導入は東南アジアで初めてとのことです。
[参考] 産経ニュース 日本語が「第1外国語」に ベトナムの小学校で東南アジアで初
ベトナム人の正社員を採用する方法
ベトナム人正社員を雇う際の重要な分岐点
ベトナム人を正社員として迎えたいときの方法として、とても重要な分岐点があります。それは採用を行うのが日本国内かベトナム現地かです。
ベトナム人が国内に沢山いるのであれば、国内で採用すればよいではないかと思いますが、なぜ選択肢としてベトナム現地が挙げられるのでしょうか。
実はベトナム人を雇うにあたりベトナム現地での採用活動を行った方がよい場合があるのです。
正社員を雇いたいときに日本国内の留学生でも技能実習生でもないのかというと、まず最も多い技能実習生については転職が不可能であり選考対象になり得ませんのでまず除外します。
次に多い留学生についてですが、国内の留学生で優秀な方はどの企業でもリーチできる層になりますので、日本人を採用するのとさほど競争率で変わらなくなってしまいます。
日本に居てさまざまな企業も見ていますので、採用できても目移りして離職することもあるかもしれません。
なお出稼ぎの要素がまったくなく、母国での生活が裕福で純粋に日本に留学に来ている方の場合ですが、辛ければ母国に帰ろうとすれば帰れてしまい、離職の可能性がこちらも高いと言えます。
国内で身近な存在となりつつあるベトナム人ですが、実はベトナム現地に採用しにいくのが正解かもしれません。
現地でベトナム人を雇用する場合
ベトナム現地で採用活動を行う場合、日本の企業が簡単に手出しできない国外となりますので、第一に採用競合が少ないのが一番の特徴です。
採用可能な母集団も豊かになりますので、自社に合った方を採用できる可能性も高くなります。
ベトナムの大卒初任給は30米ドルとも言われており、ベトナムでトップレベルのハノイ工科大学卒、ベトナム国家大学卒のエンジニアを採用するのも夢ではありません。
就労ビザの取得が必要か判断するには?
ベトナム人をはじめとする外国人労働者を雇用したいと思ったとき、慎重に判断すべきなのは「新たに就労ビザを取得する必要があるのか?」という点です。
就労ビザは、外国人が日本国内で活動するために必要な「在留資格」のうち、就労に関するものを指します。
就労ビザの取得には雇用する側の企業にも用意するべき書類があるため、取得の必要性についてはよく確認する必要があります。
就労ビザ取得の必要がないケースは、3パターンあります。
1つは、そのベトナム人が就労制限のない在留資格を取得しているケースです。
このような在留資格には「永住者」や「定住者」、「日本人の配偶者等」があり、日本人と変わらない条件で生活ができるため、就労に制限はありません。
ベトナム人でこのケースに当てはまる人材はまだ多くはありませんが、今後は増加していく可能性もあります。
もう1つは、資格外活動許可を得た留学生です。
留学ビザは基本的に就労ができませんが、資格外活動許可があれば一定時間は就労ができるため、新たに就労ビザを取得することなく雇用することができます。
最後の1つは、その外国人が現在持っている就労ビザと、その外国人に任せたいと思っている業務内容が一致するケースです。
就労ビザを持っていれば、そのカテゴリ内であれば転職が可能なので、同業種で転職活動をしているベトナム人がいれば特に手続きなく雇用できます。
就労ビザの取得が必要なのは上記以外のすべてのケースで、主に現在持っている就労ビザとは違う業務を任せたいケース、初めて就労ビザを取得するケースが挙げられます。
就労ビザでは決められた業種以外の仕事に就労できないため、入国管理局にて変更の手続きを行います。
また、初めて取得するケースにおいても同様です。
なお、就労ビザの取得や変更は原則として本人が行うことになりますが、必要書類は複雑なため、会社がしっかりサポートすることが大切です。
ベトナム人を採用する際の注意点
ベトナム人エンジニア採用の注意点
注意事項としてエンジニアの場合理系大学卒になりますので、技術力は申し分ありませんが、反面日本語力に少し懸念が残ります。
日本で働く意欲のあるベトナムのエンジニアの日本語レベルについて具体的にはJLPT(日本語能力試験)でN3がボリュームゾーンでN2だと日本語が得意と言えます。
JLPT N3は「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」とされています。
N1~N2のようなビジネスレベルとは言えませんが、根本となる技術力を身につけられる地頭があれば、働きながら次第にN3レベルからビジネスレベルの日本語力は身につけられるでしょう。
またすべてのベトナム人に当てはまるわけではありませんが、あまり主体性がないと判断される方が少しいらっしゃるようです。
技術力はあれども指示待ちの方が多いチームではうまく機能しなくなるかもしれません。採用にあたってはチーム編成の視点は不可欠です。
ベトナム人採用を成功させるポイント
ここまでベトナム人にはITスキルに長けた人材が多く、日本語をある程度話せる人材も多くいることについて説明して参りました。
今後多くの企業がベトナム人の採用に乗り出すことが想定されるため、採用を成功につなげるためには、能力を正確に見極めて相応の給料を支払うことが大切です。
例えば、ベトナム人は日本人よりも能力が低いという誤った先入観を持ってしまうと、本当に優秀な人材を採用できず、採用しても上手く活用できないでしょう。
さらには安価な給料で雇おうとしてしまうと、定着にもつながりにくいと言えます。
優秀なベトナムの人材に長く働いてもらうためには、明確なキャリアプランを用意することが重要です。
自身のスキル向上に貪欲な人材が多いため、成果に応じてやりがいのある仕事をどんどん振っていくことも重要となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
技術者を雇いたい、しかし人手不足の日本ではなかなか採用できない。
そんなニーズのある採用担当者様の場合、ベトナム人の採用について検討する価値があるかと思います。
[引用元] 日本語能力試験公式ウェブサイト N1~N5:認定の目安
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ピンポイントの人材の採用を行いたい場合、人材紹介会社の選定が重要です。
ベトナム現地の大学や行政との独自ネットワークを持つ人材紹介会社を活用することで、採用効率を高めることができるでしょう。