外国人人材雇用の助成金・補助金制度|事業主が受けられる支援

外国人雇用は今や、国内においても企業が競争力をつけていくための戦略上の重要課題といえます。

そこで今回、外国人雇用で適用可能性のある「助成金・補助金」についてご紹介します。

助成金・補助金への理解を深めた上で、外国人材の活用を考えてみてはいかがでしょうか。


1|助成金・補助金とは

1-1.助成金について知る

助成金とは、主に厚生労働省が雇用保険に加入している企業に支給する「返済不要の資金援助」のことです。

助成金は、「人材採用から採用後の定着に関わるもの」「障がい者や高齢者の雇用促進」「就業者のキャリアアップ」などを対象に支給されます。

これらは随時募集がおこなわれ、予算がなくなり次第受付終了の流れになっています。

また社会情勢に合わせて新しい制度ができてはなくなるなど変化が激しいのが特徴で、随時新しい情報をキャッチアップしていく必要があります。

[参考] 厚生労働省『事業主の方のための雇用関係助成金』

1-2.助成金・補助金の違いと共通点

補助金とは、経済産業省(一部助成金あり)、農林水産省などの国の機関や地方自治体などが「国の政策や産業育成」などのために交付する資金です。

助成金と同様に「返済不要」なものとして支払われています。

助成金との大きな違いは、補助金の大半が公募によるものであることが挙げられ、公募期間が1カ月など短いのが特徴です。

助成金や補助金ともに共通することとして、公的な機関が向こうから知らせをくれるわけではなく、当然ながら知らないと活用できない点です。

ちなみに、経済界では知らぬものがいないといわれる成功者も、公的助成金制度を活用して事業を大きく飛躍させています。

CHECK!

すしざんまい(株式会社喜代村)

全国56店舗の回転寿司チェーンを展開し、クロマグロを史上最高額で競り落としたことでも有名な「すしざんまい」。

この有名企業も、「海外開拓」「省エネルギー」「雇用」の助成金を活用して経営の土台を作っていることで知られてます。

[参考資料] 監修:柏雅『図解ビジネス 経営者・起業家必読! すぐわかる補助金・助成金活用ガイド』誠文堂新光社

2|外国人雇用で活用したい助成金

2-1.雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、景気の波があって事業を縮小せざるを得ないときにその影響を最小限に抑えるための助成金です。

しかし景気の変動に合わせて人材を再稼働させたくなることもあります。

休業させた従業員は外国人を含めて休業手当を払う必要が出てきますが、雇用助成金を申請することで中小企業の場合には、国から休業手当の3分の2を支給してもらえます。

助成金を受給するためには、下記条件が必要になります。

  • 景気の変動や経済上の理由がある
  • 事業活動を縮小している
  • 従業員に休業、出向、教育訓練を行っている

※毎年の繁忙期、閑散期に合わせた縮小や事故や災害によるものは対象になりません

【支給金額・期間】

休業
休業手当の3分の2(中小企業)、もしくは2分の1 ※限度:100日まで出向
出向元の負担賃金の3分の2(中小企業)、もしくは2分の1 ※限度:1年間教育訓練
賃金の3分の2(中小企業)、もしくは2分の1 ※限度:1人1,200円の加算、100日※出向とは3カ月以上1年以内をいいます
※再就職のための教育訓練は対象外です

【受給手続きに必要な書類】

休業と教育訓練
「雇用調整助成金支給申請書」「雇用調整に関する申請書」「休業等実施計画届」「休業協定書」を就業規則などの必要書類を添付して、最寄りのハローワークに提出します。

出向
「雇用調整助成金支給申請書」「雇用調整に関する申請書」「出向計画届」「出向協定書」に出向契約書などを添付してハローワークに提出します。

平成13年10月まで「雇用助成金」を受給するには、厚生労働省指定の59業種に限られるなど様々な条件がありました。

現在では、社会情勢に合わせて大きく条件が変わり、すべての業種が対象になっています。

2−2.中小企業緊急雇用安定助成金

中小企業緊急雇用安定助成金とは、従業員の雇用維持に努力している「中小企業」の事業主を対象とした助成金です。

休業、教育訓練、出向を行ったさいの失業防止を目的とされ、賃金負担額の一部が支給されます。

助成金をもらうためには、下記条件が必要となります。

  • 売上高または生産量の最近3カ月の平均値が直前の3カ月または前年同期に比べて減少している
  • 売上高または生産量の最近3カ月の平均値が前々年同期に比べて10%以上の減少に加え、経常損益が赤字である
  • 前期決済が赤字である

以下のいずれにも該当し、休業・教育訓練・出向を行い、出向労働者の賃金の一部を事業主が負担していること

  • 対象期間内に実施したもの
  • 被保険者を対象にしている
  • 休業手当の支払いが法律に違反していない
  • 教育訓練は通常の訓練でない(通常行っていない技能の習得訓練などが必要)
  • 出向労働者の同意を得た出向
  • 労使間の協定によるもの
  • 事前にハローワークまたは労働局に届け出ている

【支給金額・期間】

休業

休業手当の5分の4(※期間中に解雇を行わない場合は10分の9に上乗せされる)

※出向、教育訓練とも5分の4、上乗せ後は10分の9
※教育訓練の場合は1人6,000円を限度で加算。支給期間は、全て3年で300日まで

【受給手続きに必要な書類】

休業または教育訓練
「休業協定書」「教育訓練協定書の写し」「休業等実施計画届」「雇用調整実施事業所等に関する申請書」「雇用調整助成金支給申請書」をハローワークに提出します。

出向
「出向協定書の写し」「出向実施計画届」「雇用調整実施事業所等に関する申請書」「雇用調整助成金支給申請書」をハローワークに提出。

[参考資料]
1.中小企業緊急雇用安定助成金のご案内(パンフレット)
2.雇用を守るための雇用調整助成金/中小企業緊急雇用安定助成金の申請
3.雇用調整助成金の様式ダウンロード

3|その他の活用したい助成金

外国人雇用でご活用いただきたい助成金は、基本的に上記でご紹介した「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」の2つです。

これに加えて、要件を満たせば外国人雇用にも利用できる可能性のある助成金がいくつかあります。

ここでは、主な3つをご紹介します。

3-1.トライアル雇用助成金

「トライアル雇用助成金」は、要件を満たせば1人当たり最大5万円を3カ月間給してもらえる(35才未満の対象者の場合)助成金です。

対象とされている求職者を、ハローワークをはじめとする職業紹介事業者を介して一定期間試験雇用した場合に受給できます。

求職者は企業環境や仕事内容を把握でき、企業側が該当の求職者が自社に適しているかを判断できる試用雇用を、より容易に行えるようにすることを目的としています。

なお一定期間の試験雇用を経て求職者・企業側に相違なければそのまま従業員としての雇用も可能です。

助成金受給の雇用対象者は「学校の卒業後3年以内で、安定した職業がない」「これまで就労経験のない業種での就職を望んでいる」「父子または母子家庭の父母」などです。

日本人だけではなく、外国人にも適用されますので、外国人を試験雇用する際に利用できるか確認しましょう。

3-2.人材開発支援助成金

「人材開発支援助成金」とは、雇用保険の被保険者の雇用を対象とした助成金です。

助成金を支給することで、企業が従業員の人材育成やスキル向上により注力できるようにすることを目的としています。
2016年度以前までは「キャリア形成促進助成金」という名称でしたが、助成金の金額なども調整され、より利用しやすくなっています。

この助成金では、研修費用や研修期間中の賃金の一部を受け取ることができます。こちらの助成金は日本人・外国人労働者のどちらも同じ条件で適用されます。

雇用保険の被保険者を対象としているため、基本的には長期間かつ週20時間以上の労働が認められる者すべてが対象となります。

人材開発支援助成金には「特定訓練コース」「一般訓練コース」「キャリア形成支援制度導入コース」「職業能力検定制度導入コース」の4つのコースがあり、それぞれ受給できる助成金額や対象企業が異なります。

各コースで受給できる金額や対象企業などの詳しい内容については、以下の厚生労働省の資料を参考にしてください。

人材開発支援助成金|厚生労働省

3-3.キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者や短時間労働者などの雇用を対象とした助成金で、非正規雇用から正規雇用への転換を主な目的としています。

そのため、「人材開発支援助成金」は雇用保険の被保険者であれば正規雇用労働者であっても対象であったことに対し、「キャリアアップ助成金」は正規雇用労働者以外の雇用が対象となります。

こちらの助成金も、日本人・外国人労働者のどちらも同じ条件で適用されます。

この助成金では、有期契約労働者を正規雇用労働者への転換などの転換内容やどれくらい生産性が向上したかによって助成金額が異なります。

平たく言うと、定められた成果をあげた企業はより多くの助成金を受給できる、ということです。

例えば有期契約労働者を正規雇用労働者へ転換した場合に、1人あたり最大で57万円を受給することができます。

生産性の向上が認められると、1人あたり最大で72万円まで受給することも可能です。

キャリアアップ助成金には7つのコースがあり、それぞれ受給できる助成金額や対象企業が異なります。

各コースで受給できる金額や対象企業などの詳しい内容については、以下の厚生労働省の資料を参考にしてください。

キャリアアップ助成金|厚生労働省

3-4.その他、雇用に関連する助成金

ここまでご紹介してきた助成金以外にも、外国人の雇用や就労に際して利用できる助成金は多くあります。

【労働移動支援助成金】

なんらかの理由で離職を余儀なくされた労働者を支援する企業に支給される助成金です。

「再就職支援コース」と「早期雇入れ支援コース」の2種類があります。再就職支援コースは事業縮小等により労働者を解雇する企業が、職業紹介事業者に委託する等、再就職を支援する際に支給されます。

早期雇入れ支援コースは、離職を余儀なくされた労働者を、離職後3ヶ月以内に期限を定めずに雇用した企業に支給されます。

【中途採用等支援助成金】

中途採用の拡大を目的に雇用管理制度を整備することで、支給される助成金です。

中途採用者を拡大した結果、一定期間後に生産性が向上すると、さらに助成を受けることができます。

東京圏から地方へ移住してきた労働者を雇い入れた際に支給される「UIJターンコース」などもあります。

【特定求職者雇用開発助成金】

特定の条件に当てはまる求職者を雇用した際に、支給される助成金です。

「障害者初回雇用コース」「特定就職困難者コース」「生涯現役コース」など、さまざまなコースがあります。

例えば障害者初回雇用コースでは、障害者の法定雇用数を達成するために、初めて障害者を雇用した中小企業が受給できます。

【両立支援等助成金】

仕事と家庭の両立などを目指し、支援や環境の整備を行った企業に支給される助成金です。

仕事と介護の両立を支援した場合に受給できる「介護離職防止支援コース」、育児や介護を理由に一度離職した労働者を再雇用した場合に受給できる「再雇用者評価処遇コース」、女性労働者が能力を十分に発揮し活躍できる環境を整えた場合に受給できる「女性活躍加速化コース」などがあります。

4|外国人を雇用するメリットと注意点

日本の外国人労働者は増加傾向です。

15年に約90万人だった外国人労働者数は17年には約128万人まで増加しています。

その背景の根本にあるものは、少子高齢化による国の方向転換です。

みずほ総合研究所の発表によると、日本の労働力人口は2065年までに約2,600万人減少する見通しです。

各企業は人材不足解消に向けて、生産性の向上とアウトソーシングによる労働力確保に躍起になっています。

日本政府は高度成長期の人材不足でも「外国人の雇用を受け入れない」立場を取っていましたが、現在では舵取りを行い、単純労働においても実習など条件が整えば外国人が働くことのできる整備を行いました。

女性や高齢者の社会進出の対策だけでは、日本の深刻な労働力不足を補えないことが分かってきたからです。

これから外国人を初めて雇用する企業は会社の一員として働いてもらうために、メリットとデメリットを考えて対応していかなければなりません。

4-1.メリット

  • グローバル化

海外進出、海外向けECサイトや外国人向けのビジネスを展開するための足掛かりになってくれます。現地の習慣や慣習、海外の調査など大きな力を発揮してくれます。

例えば、中国のECサイト「天猫」の売上は48兆円を超える規模です。海外でビジネスを展開するにはその国の人材は欠かせません。

  • 新しい視点

日本人とは全く違う発想や考えは、さまざまなヒントになります。日本人社員にも刺激や向上心につながります。

また、日本で学ぼうとする外国人労働者の真面目な姿勢は、社内の勤労意欲を高めます。

  • 労働者の確保

少子高齢化の影響で、特に若年層の雇用が困難になってきています。若い世代の労働力となり、これからの企業を支えてくれます。

どんなに優れたノウハウやサービスを持っていても、提供する側が必要です。労働力不足を理由に規模を縮小する企業が増える昨今からの労働者確保は避けて通れない課題です。

4-2.注意点

  • 文化や監修の相違

日本との風習や慣習の違いが原因で行き違いが発生することもあるかもしれません。
日本人とのコミュニケーション以上に普段からお互いをよく知り、注意を払って接することも必要です。

  • 差別にならない配慮

外国人を雇用する際に、「外国人は低い賃金で雇えるのではないか」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
ですが国籍を理由として異なる処遇で雇用してはいけません。

5|まとめ

これからはじめて外国人を雇用する企業の経営者や担当者は、国籍に関係なく優秀な人材が力を発揮できる環境作りを築いてほしいと願います。

外国人の雇用にあたり、あなたの会社でも該当する助成金や補助金があるかもしれません。

支援込みで外国人採用へのチャレンジを検討してみましょう。

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Bridgers 編集部です。 日本企業が外国人を採用するためのナレッジや、海外ビジネス情報について記事形式でお伝えしていきます。