訪日外国人観光客ビジネスの現状と対策

ここ数年、政府の政策の後押しもあり外国人観光客は増加の一途をたどっています。特に中国人、韓国人などアジアからの観光客が多く、消費を牽引しています。外国人観光客の消費に関わる企業は、彼らのニーズに応えるためにサービス面・採用面など様々な対策が必要です。外国人観光客の現状からその対策まで、詳しくご紹介していきます。

外国人観光客と消費額の推移

中小企業庁が発行する「中小企業白書:平成29年度(2017年度)の小規模事業者の動向」によると、1990年代から2000年代初頭にかけての外国人観光客の数は400万~500万人前後でしたが、2012年以降は大きく伸び、2017年は約2,900万人にも達しました。

東日本大震災の2011年に一時的に落ち込んだものの、20年前と比べてると実に6倍の増加です。外国人観光客の消費額も順調に増加し、2017年の訪日外国人による経済効果は約4兆4,161億円にものぼりました。

このように、外国人観光客向けのビジネスは「インバウンド事業」と呼ばれ、盛り上がりを見せています。日本の魅力を海外に向けてアピールしたり、外国人観光客が消費をしやすくするための整備、日本文化の体験提供などが挙げられます。

外国人による需要はインバウンド需要インバウンド消費と呼ばれ、2015年の日経トレンディによる「2015年ヒット商品ベスト30」の3位にも選出されました。なかでも、中国人の観光客の消費額が大きく、“爆買い”と呼ばれトレンドワードになったほどです。

消費総額の約4割は中国からの外国人観光客

国籍・地域別で見ると中国からの外国人観光客の消費額が全体の約4割を占めており、その影響の大きさがみて取れるでしょう。また、中国だけではなく、近隣の台湾・韓国・香港からも多くの外国人観光客が日本を訪れています。

観光庁:【訪日外国人消費動向調査】平成29年(2017年)年間値より

中国人観光客が増加した理由の一つは、中国人に対するビザの発給条件緩和が挙げられます。中国人が日本に観光で訪れるためには基本的には都度、ビザ申請が必要です。その発給条件が緩和されたことで、日本を訪れやすくなったのです。

また、円高も訪日外国人の増加に大きな影響を与えました。ちょうど中国人に対するビザの発給条件が緩和された時期に円高が重なり、買い物を目的に日本を訪れる外国人観光客が目立ちました。

外国人観光客の増加が日本企業に与える影響

外国人観光客が増加すると日本企業にどのような影響を与えるのでしょう。GDP統計上、インバウンド需要は「輸出」にあたるので、外国人観光客が日本で宿泊・飲食・買い物などをした場合、財やサービスが輸出されたことになります。輸出もGDPをけん引する項目ですのでGDPに大きな影響を与えます。

また、外国人向けにインフラを整備することになれば、日本人も旅行や娯楽に対して積極的になり、日本人の消費も刺激する可能性もあります。

観光庁:【訪日外国人消費動向調査】平成29年(2017年)年間値より

観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、消費額の費目別構成比でもっとも多いのが買い物代で37.1%、次いで宿泊料金の28.2%、飲食費の20.1%、交通費の11.0%が続きます。

農林水産省の「訪日外国人旅行者の旅行消費額」の調査によると、買い物代のうち食料品等(菓子類、その他食料品、飲料、酒、たばこ)が堅調に増加し、2017年は3,456億円(対前年比19%増)もの金額になりました。キットカットやポッキーなど、可愛くてユニーク、さらに美味しい日本のお菓子はお土産としても絶大な人気を誇ります。

また、宿泊料金の28.2%、飲食費の20.1%も見逃せません。宿泊施設の需給が今後ますます増加すれば、稼働率の上昇だけではなく、宿泊料のアップなども期待できます。

実際、中小企業庁の「経済成長を実現する中小企業」では「外国人観光客を受け入れることで再生した家族旅館」が事例として紹介されています。さらに、急激な外国人観光客の増加に対応できず、ホテルや旅館が不足し、民泊がビジネスとしてここ数年成長してきました。

観光での大きな楽しみの一つは食事です。特に日本は食文化が豊かですので、都内のレストランだけではなく、地方の食事を楽しみにしている外国人観光客も多いようです。観光庁の「訪日外国人消費動向調査(平成26年1-3月期)」によると訪日前に期待していたこととして「日本食を食べること」が欧米の国々を中心にあがっています。

外国人観光客の増加と課題

このように、外国人観光客が増加することで、日本経済・企業にも大きなメリットがあると言えるでしょう。しかし、その一方で課題もあります。

中小企業庁の「経済成長を実現する中小企業」によると、外国人観光客に対してサービスを提供する上で、約4割が「言葉の問題がある」、約2割が「目に見えない自社の財・サービスの良さを伝えることが難しい」と回答しています。また、「文化が異なり、自社の財・サービスを観光客の需要に合わせることが難しい」点も課題です。

中小企業庁の「経済成長を実現する中小企業」より

同調査では、事業機会を逃さないための取り組みに「外国語のメニューや説明書、ホームページの作成が多く、今後の取組としては、外国人観光客向けの従業員教育や従業員確保が多くなる」と記しています。また、「外国人観光客による事業機会を取り込むに当たって、今後はグローバル化に対応した人材の確保が重要であることが示唆される」とも明言してます。

外国人人材の採用について

外国人観光客からの経済的な恩恵を最大限に教授されるためには、国際感覚に優れた優秀な人材の確保が必須です。そんな中、バイリンガル人材や外国人労働者の雇用に注目が集まっています。

2018年10月、日経新聞は「外国人、もう代役じゃない 外食各社の成長の要へ 」でアルバイトの3人に1人が外国人労働者と報じました。

居酒屋大手で「テング酒場」「旬鮮酒場天狗」など120店舗を運営するテンアライドは現在、約2800人のアルバイトを雇っており、うち約900人が外国人。人手不足を外国人労働者がカバーしてるだけではなく、海外展開でも外国人労働者への期待は高まっています。

中小企業庁の「経済成長を実現する中小企業」より

さらに、外国と関わりを持つことによる中小企業への効果として、「日本国内での取引先が増えた」、「費用削減につながった」といった売上面、費用面での効果に加えて、「国外市場の情報や海外ビジネスノウハウが蓄積された」、「国外で財・サービスを販売・提供可能になった」、「新製品開発につながった」等の様々な効果を享受しているとのデータもあります。

優秀な外国人労働者の採用するために

このように、外国人観光客の恩恵を大きく受ける可能性が高い飲食・小売・宿泊業界などは、外国人労働者の雇用をすることで、大きな利益を得る可能性があります。

また、日本人のような接客精神があり、なおかつ訪日客数の多い中国・韓国の言語が話せる人材に注目が集まりつつあります。しかし、このような人材を見つけるのは簡単なことではありません。

適切な人材を採用するために、Bridgersのような採用サービスを活用する方法もおすすめです。今後は少子化でさらに人材獲得競争は熾烈になると言われています。インバウンド需要の恩恵を最大限に活用するためにも、多方面からの人材獲得を検討してはいかがでしょう。

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Bridgers 編集部です。 日本企業が外国人を採用するためのナレッジや、海外ビジネス情報について記事形式でお伝えしていきます。